世界初、光を感知する機能を保ったまま
23日付の米科学誌「ブロス・ワン」電子版によると、愛知県にある自然科学研究機構生理学研究所の小泉周准教授の研究チームが、ネズミの網膜を摘出し、世界で初めて光を感知する機能を保ったまま培養することに成功したという。
網膜は眼球の後ろ側にあり、摘出すると数時間で機能を失うことが知られている。これまで、長時間の機能保存は不可能とされていた。しかし今回小泉准教授らは、取り出したネズミの網膜の片面を培養液につけ、もう片面を空気に触れさせた。
失明者を救う網膜移植への道も
振動装置で栄養素を効果的に補給しながら1分間に55回程度の横揺れを与え続けた。その結果、摘出前と同じ機能が、4日間にわたって保たれたという。
今回の結果により、摘出した網膜の使用が可能になるので、より複雑な研究や費用と期間の大幅な圧縮ができるという。小泉准教授は「人間の網膜も長期間培養する技術が確立すれば、失明者を救う網膜移植への道が開ける可能性がある」と語る。

プロス・ワン(英語)
http://www.plosone.org/home.action