「風立ちぬ」への抗議は行き過ぎか?
先日、宮崎駿監督の新作アニメ「
風立ちぬ」に対して、NPO法人 日本禁煙学会が「タバコ広告・宣伝にあたる」として抗議を行った。
分煙・禁煙エリアの拡大にとどまらず、喫煙者の採用を拒否する企業の増加、表現活動における喫煙シーンへの規制論議など、
嫌煙モードがますます強まる中、喫煙について医師たちはどのように感じているのだろうか。
株式会社ケアネットは、同社の医師会員1,000人を対象に「
“タバコおよび喫煙者の負担”に対する意識調査」を実施し、8月29日にその結果を発表した。
調査によると、
喫煙者の負担増に賛成する医師は多いものの、映画やアニメなどの
表現活動をめぐっては賛否がわかれた。
(画像はニュースリリースより)
タバコの適正価格は1,000円以上
喫煙者の保険料や医療費などの負担増をどう思うかとの質問では、全体の61.1%が賛成と回答した。
脳梗塞、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、心疾患など喫煙が悪影響を及ぼすとの科学的根拠が示されている疾患には、
喫煙者の自己負担率を増やすべきとの意見が多い。
また、タバコの価格はどの程度が適正だと思うかとの質問には、「
1,000~1,400円程度」と回答した医師が最も多く、33.6%。次いで「1,500円以上」、「800円程度(100%値上げ)」がそれぞれ19.5%だった。
現状維持と答えた人は14.1%と少なく、8割以上の医師が値上げを支持。過半数が
1,000円以上が適正価格であると認識している。
しかし「1,000円以上になれば禁煙する」という意見がある一方で、一度依存してしまうと「1,000円以上でも禁煙は難しい」との意見も見られた。
(画像はニュースリリースより)
「風立ちぬ」の喫煙シーン、どう思う?
表現活動の規制をめぐっては、賛否両論だった。
「『風立ちぬ』で喫煙シーンが多かったが、監督自身がヘビースモーカーなので作品の製作にあたり何も考慮しないと思われる。映画やドラマでも喫煙の場面を極力減らしてほしい」(消化器内科、50代、男性)
「作者自身がヘビースモーカーであり、自身の喫煙環境を満たすため(日本の社会の禁煙推進に反対するため)、作品を通して、訴えている側面がとても感じられ、危険であると感じます。反対意見を言われる方は、タバコがいかに依存性があって、反社会的な薬物であるという事が認識されていないかと思われます。」(内科,50代,男性)
(「“タバコおよび喫煙者の負担”に対する意識調査」より引用)
といった手厳しい意見と
「アニメや映画での自粛や規制はやりすぎ」(小児科、40代、男性)
「禁煙の推進や分煙には賛成するが、喫煙者の人格や喫煙行為そのものを害とみなすようなスタンス(今回の『風立ちぬ』に対する日本禁煙学会の意見など)は、原理主義的で違和感を感じる」(小児科、30代、男性)
「生活環境の変化に伴い自然にやめました。表現については、じゃあ過去の映画やドラマ等放送しないのか?レンタル等しないのか?どこまでが許容されて、どこからが問題かは、製作者が判断することと思います」(呼吸器内科、20代、女性)
(「“タバコおよび喫煙者の負担”に対する意識調査」より引用)
表現の規制は行き過ぎでは?との意見にわかれた。

株式会社ケアネットのニュースリリース
http://navigator.eir-parts.net/EIRNavi.pdf特定非営利活動法人 日本禁煙学会
http://www.nosmoke55.jp/株式会社 ケアネット
http://www.carenet.co.jp/index.html