それ、ガンづけではありせんからぁっ!
道ですれ違って目と目が合った男性同士が、「てめえ、ガンつけてんじゃねーよ」とケンカに発展する――。そんなシーンを日本の映画や漫画で見かけることがある。
しかし国際化が進み、異文化コミュニケーションが活発な昨今、この感覚はヤバイかもしれない。
海外の映画で、終始うつむきがちな日本人に対して、「何を考えてるいるのか、わかんないね(笑)」と揶揄するシーンを、ありありとイメージできる人も多いのでないだろうか。
(この画像はイメージです)
正面から見られると「怒っている」と感じる日本人
東京大学大学院総合文化研究科の長谷川寿一教授、同研究科博士課程の明地洋典氏らの研究グループは、フィンランドのタンペレ大学のヤリ・ヒエタネン教授と共同で、日本人とフィンランド人を対象に、
アイコンタクトに関する実験を実施。
その結果、日本人は欧米人(フィンランド人)に比べ、アイコンタクトをとってきた相手に対し「
近づきがたい」、「
怒っている」と感じやすいことを発見した。
アイコンタクトは国や地域によって差があると報告されていたが、今回の発表で、その差は生理的なものではなく、
文化的慣習によるものであることが示唆された。
実験では、視線が正面向き、よそ向き、または目を閉じている他者の顔を提示し、それぞれの心拍数の変化や感じ方を記録した。正面向きの顔が提示された場合、日本人もフィンランド人も心拍数が減少し、
生理的な文化差は認められなかった。
一方、心理評定では、日本人はフィンランド人に比べて、正面向きの顔を「
近づきがたい」「
怒っている」と感じることがわかった。
今後の課題として、研究成果が他の東洋や西洋の国々、また、普段のコミュニケーションで一般化できるかどうかを検討していく。
たとえば、日本人は西洋人がアイコンタクトをとったときに、
「怒り」を表現しているのではないと知っておく方がいいこと。逆に西洋人は、日本人が自分と目を合わせないのは
「近づきがたい印象」や「怒っている印象」を与えないように配慮している可能性に気づくことが、異文化間の円滑なコミュニケーションを促すとしている。

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