HIVウイルスで白血病治療
白血病と闘う7歳の女の子――エマ・ホワイトヘッド(Emma Whitehead)ちゃんが、まだ研究段階に実験的な治療を受けて、がんの症状を克服したとThe New York Timesが報じている。
新しい治療法は、がんと同様に恐れられているエイズの原因となるHIVウイルスを使うという画期的なものだ。
5歳のときに急性リンパ芽球性白血病を発症したエマちゃんは、化学療法の効果も現れず、医師もお手上げ状態だった。追い詰められた医療チームは、まだ実験段階の治療にチャレンジした。
(この画像はイメージです)
体内に免疫システムを作り、持続的にがんを退治
この治療法は米ペンシルベニア大学が開発し、研究を進めている。まず患者のT細胞を体から数百万個取り出し、HIVウイルスを使ったがん細胞を殺すための遺伝子を挿入する。
新たな遺伝子を挿入されたT細胞が、体内でがんと戦うのだが、これは非常につらい治療法であるという。わずか7歳のエマちゃんは高熱と悪寒に苦しみ、瀕死の状態に陥った。しかし、彼女はこの治療に耐えてがんを克服したのだ。
治療後約7か月経った現在でも、がんの再発は見られない。この治療を受けた人は極めて少なく、子どもではエマちゃんが初めてのケースとなる。
研究チームはエマちゃんのように、患者自身の免疫システムに継続的にがんと戦う力を与えることを、長年の目標としてきた。
研究チームのリーダーである、カール・ジューン(Carl June)博士は、
私たちは完治を目指していますが、現時点ではこの言葉を使うことができない(「NYTimes.com」より引用)
と、再発が見られないものの「完治した」とは断言できないと語っている。
しかし、今後さらに研究が進めば“骨髄移植”に代わる新たな治療法になるのではないかと期待をかけている。

NYTimes.com
http://www.nytimes.com/2012/12/10/University of Pennsylvania || School of Medicine || Carl H. June, M.D.
http://www.med.upenn.edu/apps/faculty/