どんな医師もギブアップするスゴイ村
先月12日、上小阿仁村国保診療所長に着任した西村勇医師(71)が、わずか1か月足らずで辞意を示したと、「さきがけonTheWeb」が報じた。
上小阿仁村国保診療所は、村内唯一の医療機関だ。しかし、たった1人の常勤医である所長が定着せず、問題となっている。
前任を含む3人の医師はいずれも約1年で辞意を示しており、今回の西村医師に至っては、わずか1か月足らずでの辞意表明となった。
西村医師は
体調が思わしくないので、後任を探してほしい(「さきがけonTheWeb」より引用)
と体調不良を理由にしているが、中田吉穂村長は秋田魁新報社の取材に
健康面を心配したが、本人が健康に自信があると言っていたし自己管理できていると思っていた。突然で驚いた(「さきがけonTheWeb」より引用
と話している。西村医師は秋田魁新報社の取材を拒否しており、病名などは明かされいない。
「変態マッドサイエンティスト」と名付けられた猛者
上小阿仁村に診療医が定着しない理由は、僻村医療の過酷な勤務状況に加え、一部の村民による強烈な嫌がらせのためだという。
僻地経験の豊富な医師ですら1年も勤務できないほど、過酷な職場なのだ。しかし先月、西村医師の赴任が決定したときは、今度は長く勤まるのではないかと期待されていた。
というのも西村医師はユニークな経歴の持ち主で、もともとは通産省に勤務する官僚だった。その後金沢大学で医学を学んで医師免許を取得。僻地医療を志したという。また哲学者として、2007年に著書「人間現象の哲学的および実験的研究」を出版している。
(画像:Amazon)経歴もユニークだが、著書の内容も破天荒だ。臨床医師の日々の考察や、独特な観察実験の手法を紹介した哲学書で、人間行動についての理解を深めるために行われたという実験が、なんとも奇天烈なのだ。
例えば、ガソリンスタンドに訪れてクレーマーを演じ、販売員を罵倒したり無理難題を押し付けて、その反応を調べるという実験の様子などが記載されている。著書は現在絶版となっており入手困難だが、2ちゃんねるなどのインターネットで話題になった。
このような著書の内容から「変態マッドサイエンティスト」とも呼ばれており、臨床実験の一環として入村したのではないかと言われていた。
手強い医師として期待されていた西村勇医師だが、かつてない短期間でギブアップしてしまった。上小阿仁村国保診療所を舞台に、いったいどのような人間模様が繰り広げられていたのだろうか。

秋田県北秋田郡上小阿仁村
http://www.vill.kamikoani.akita.jp/さきがけonTheWeb
http://www.sakigake.jp/p/akita/news.jsp?kc=20121107c