究極の島流し!?
まるでSF小説のようなオランダのプロジェクトが話題だ。米航空宇宙局(NASA)の
火星探査車キュリオシティーの活躍の裏で、アメリカに先駆けて火星へ人類を着陸させるための、オランダの民間プロジェクトが立ち上がった。
このプロジェクトは「
マーズ・ワン(Mars One)」と名付けられ、NASAよりも7年早い2023年までに、4人の宇宙飛行士を火星に着陸させる計画。来年にも志願者の募集を開始する。
ただし、
火星へと旅立つ飛行士に手渡されるのは、片道切符なのだという。
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費用はテレビ番組で集める
火星到達に必要な予算
は60億ドル(約4700億円)。この莫大な資金は、テレビのリアリティー番組を活用して集める計画だ。
宇宙飛行士の訓練から何か月にも及ぶ火星への旅、そして火星での飛行士たちの生活までの一部始終をテレビで放映する。
この冒険をメディアスペクタクルとすることで、資金は調達できる
プロジェクトの発案者であるランスドルプ氏は自信満々だ。マーズ・ワン計画に多くの不確定要素があることは認めながらも
火星征服こそ、人類史上最も重要な一歩になる
プロジェクトへの意気込みをAFPに語った。
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男女4人で火星移住
プロジェクトでは2013年より飛行士の訓練を開始し、
2022年までには宇宙ステーションモジュールや食料、ロボット車両などを火星へ送り出す予定だ。宇宙船や火星での居住施設は、適切な企業を厳選してアウトソーシングする。
男女4人の飛行士たちは
2023年4月に火星に着陸し、10年後にはおよそ20人が「コロニー」を作り、火星での調査や実験を行う予定だ。
まるでSF小説のような火星移住計画だが、平均
気温マイナス55度、大気の大半を
二酸化炭素が占める苛酷な環境もさることながら、火星に到達するまでの航路で浴びる
放射線の被ばく量に、人間が耐えられるかどうかすらわからない。
命がけのマーズ・ワン計画に参加する飛行士たちの行く末は、その生死さえもテレビで放送され、番組の材料となるのだ。
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懐疑的な専門家の意見
専門家らの見解は、一様に否定的だ。仏ストラスブール(Strasbourg)の国際宇宙大学(International Space University)のクリス・ウェルチ(Chris Welch)教授は、火星での生活は困難だとの意見だ。
酸素は火星地下の水分から抽出する計画だが、ウェルチ教授は、理論上で可能であることと実現が可能なことは別問題だと否定的だ。
欧州宇宙機関(European Space Agency、ESA)の火星探査計画「ExoMars」の一員であるジョージ・バゴ(Jorge Vago)氏は、
火星の乱気流がマーズ・ワン計画の同じ場所に2つの宇宙船の着陸を妨害する。ロボット車両と宇宙飛行のが乗る宇宙線が離れて着陸すれば死活問題に関わると指摘している。
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本当に実現させる意志ははあるのか?
マーズ・ワン計画自体、真剣に火星移住の実現を目指してはおらず、資金集めが目的なのではないかとの批判もある。
マーズ・ワン計画についてTwitterでは
「さすがにドラッグも安楽死も合法の国オランダ。そして世界の海を制覇した国…面白いことを考える」
「宇宙船で「あいのり」みたいな番組ができる日も近いかしら……」
「片道火星旅行でテレビ番組を作る?コレなんて黄金伝説?」
「往復切符になるまで待てない志願者、何人くらい登場するのか」
「現時点で火星へ人類を送るメリットって何だろうね?」
「後のヴェイガンである、は皆言ってそうだから「ガンダムまであと150年か…長いんだか短いんだか」にしとこう」
などの意見が投稿され、この壮大な計画に、注目が集まっている。
宇宙コロニーの実現を目指す「マーズ・ワン計画」は、人類の夢を叶えてくれるのだろうか。それとも単なる「資金集め」のための壮大なスカラムーシュとして、我々の夢想をかきたてるだけに終わるのだろうか。

AFPBB News
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