五層の防護なし!三層で稼働する大飯原発
福井県・大飯原発の再稼働が正式決定したが、大飯原発は
国際基準を満たしておらず安全性に不安があると、6月16日付の東京新聞が報じた。
東京新聞によると、国際原子力機関(IAEA)は原発の安全性確保のためには、「
五層の防護」が望ましいと考えているそうだ。
五層の防護とは、
一層から三層目が、地震や津波が起こったときに
炉心溶融などの重大事故を防ぐための設備。そして事故が起きた場合に、
四層目と五層目で
住民を被ばくから守る五重に囲まれた防御構造のことをいう。
(画像:IAEA)
住民への安全対策が不十分
大飯原発では、
三層目までの安全対策は取られているが、肝心の住民を守るための
四層目と五層目は作られていない。
事故が起きた後に
人間の命を守る、もっとも大切な防御層の四、五層目がない大飯原発。再稼働を行おうとしている政府は、国際基準を満たさない施設で、どのように住民の安全を守るつもりなのだろうか。
四層目の役割は、
フィルターを設置して放射性物質の外部への放出を最小限にすることと、事故を解決する作業員を
放射線から守ることだ。
五層目では、できるかぎり安全に住民を
避難させたり、
内部被ばくを防ぐためのヨウ素剤を配るなど、
具体的な住民安全対策を行う。
再稼働が決定した大飯原発では、四層目が完成するのは
三年後の予定で、五層目にいたっては
見通しが全くたたない状態だという。
(画像:関西電力ホームページ)
政府の安全基準とは?
東京新聞では
原発外で対策拠点となるオフサイトセンターは、いまだに見直し作業の最中。モニタリングポストなど広域に放射線量を監視する体制も整っておらず、福井県の避難計画も近隣の他府県との連携を考えない硬直化した内容のままだ
と、重大事故が発生した場合の対処法が不完全であることを指摘している。
野田首相は会見で大飯原発の安全性を強調し、「私の責任で」再稼働させると公言したが、国際基準も満たしていない施設のどこが安全なのか疑問だ。
専門家は、大飯原発の直下には活断層と思われる「
破砕帯」が走っていると指摘している。破砕帯が動いて地震が起これば大惨事は免れない。
国際基準から逸脱した安易な安全対策のまま、原発再稼働にGOサインを出した政府の
安全基準とは一体どのようなものなのか。

東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/newsInternational Atomic Energy Agency (IAEA)
http://www.iaea.org/大飯発電所のご案内- [関西電力]
http://www1.kepco.co.jp/wakasa/ooi/gaiyou/gaiyou.html