「原子力の憲法」に不穏な一言を追加
政府が国民に隠すようにして、原子力基本法の基本方針を変更した。これは6月21日付の東京新聞が報じたもので、国内に波紋を起こすだけでなく、
韓国が強い懸念を示すなど国際社会にも影響を及ぼした。
東京新聞によると、原子力基本法は「
原子力の憲法」とも呼ばれる大切な法律だ。この法案は衆院を通過するまで国会のホームページにも掲載されず、国民へ何の知らせもないまま決定された。
変更されたのは、基本法二条。ここに一項が追加された。従来の基本方針第二条は、
(基本方針)
第二条 原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り、安全の確保を旨として、民主的な運営の下に、自主的にこれを行うものとし、その成果を公開し、進んで国際協力に資するものとする。(法令データ提供システムより引用)
それを今回の法案では、原子力利用の安全確保は、
国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的として(東京新聞より引用)
行うとの項目を追加した。
追加された「
安全保障に資する」の部分は政府の法案にはなかったが、修正協議で
自民党が入れるように主張し、大きな異論もなく民主党が受け入れたという。
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The U.S. Army via
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2つの点で大問題
この追加された内容の何が問題なのか。東京新聞は、二つの点で大きな問題があると指摘している。
一つは手続きの問題。福島原発事故の後で、原子力に関しては日本全体が敏感になっている中で、
国民の目に触れない形で、原子力開発の要となる条項が変更された。法案は衆院を通過した6月18日の時点でも国会のホームページに掲載されておらず、国民は蚊帳の外に置かれていた。
もう一つの問題は、
安全確保は安全保障に資することを目的とするという一文を追加した点だ。
「
安全保障」という言葉からは、
核の軍事利用が連想される。韓国では主要メディアが一斉に、日本の核武装の懸念を報じた。
東京新聞は、
福島原発事故の後であり、朝鮮半島や西アジアなど核をめぐって世界情勢が緊張する中、あまりに無神経だ
と、強く非難している。
バレたら非難されるからコソコソと決めた。そんな印象が拭えない今回の法案通過。みなさんはどのようにお考えだろうか。

東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national法令データ提供システム
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S30/S30HO186.html