DNA配列解析による緑内障患者の遺伝的欠陥を特定
2014年11月14日、リバプール大学の研究者は次世代シークエンサーを用いて緑内障患者のミトコンドリアDNA配列の解析を行い、緑内障の進行に関わるDNAの変異を発見したと発表しました。
研究成果は、Genetics in Medicineに2014年9月18日よりオンライン版で公開されています。
次世代シークエンサー
タイピングチップを用いて患者グループと対照グループとで一塩基多型(single nucleotide polymorphism:SNP)の対立遺伝子を比較して疾患に関連する遺伝子を探索するゲノムワイド関連解析という方法が導入されてから、各疾患に関連するSNPが発見されています。
ゲノムワイド関連解析は基本的には集団内で比較的多くの人が共通してもつような(対立遺伝子の頻度が5%以上)SNPのセットを用いており、低頻度な遺伝子変異は検出できません。
massively parallel sequencing(次世代シークエンサー)技術が開発され、個人の全ゲノム配列の解析が低コストかつ短時間で配列決定のできるようになって来ました。
研究成果
研究者が最も頻度の高い開放隅角緑内障の患者を対象に検討した結果、細胞内のエネルギー産出器官であるミトコンドリア内に変異が存在することを示しました。
応用
現在緑内障は世界で見ると失明の原因の第1位で、6千万人以上の人々が、緑内障に罹患しています。2020年までに罹患数は約8千万人まで増加すると予想されています。
次世代シークエンサーを用いて得られた緑内障の遺伝的な基本知見は疾患の進行や失明に関する臨床的なリスクを明らかにすることの助けになると期待されています。
(画像はプレスリリースより)

リバプール大学 プレスリリース
http://news.liv.ac.uk/2014/11/10/sequencing-of-genome-helps発表文献
http://www.nature.com/gim/journal/vaop/ncurrent/full/