滲出型加齢黄斑変性に対する自家iPS細胞由来網膜色素上皮シート移植に関する臨床研究
2014年9月18日、公益財団法人先端医療振興財団と独立行政法人理化学研究所は「滲出型加齢黄斑変性に対する自家iPS細胞由来網膜色素上皮シート移植に関する臨床研究」の第1症例目が9月18日退院したことを明らかにしました。
移植手術は9月12日に先端医療センター病院で行われました。滲出型加齢黄斑変性の患者さんの網膜下に約1.3mm×3mmの網膜色素上皮シート1枚を移植しました。経過は順調で退院となりました。しかし、臨床研究の研究計画書では1年間の観察期間をおくことになっているので、今後も観察が続きます。
滲出型加齢黄斑変性
網膜の中心部には「黄斑部」という部分があります。この部分は感度が高く視力を担っています。
加齢に伴うさまざまな原因で黄斑部の機能が低下した状態が加齢黄斑変性です。
一つの原因は脈絡膜新生血管です。この血管から血漿成分(けっしょうせいぶん:血液の水分)が漏れ出たり、出血が起こり黄斑部機能が低下します。このような状態を滲出型加齢黄斑変性と呼びます。
治療は新生血管をレーザーで焼いて新生血管がそれ以上広がらないようにします。新生血管が広がらないようにする薬剤もあります。このような治療はすでに新生血管による障害のある場合にはその機能を改善することができません。
根本的な治療としては傷ついた網膜を再建することが必要になります。網膜色素上皮を移植することが最善ですが、拒絶反応が強く、うまく正着しないこととの報告があります。
患者iPS細胞由来RPE細胞の移植
患者本人の皮膚細胞からiPS細胞を作製し、それをRPE細胞に分化させシート状にして網膜の黄斑部に移植することの臨床研究が行われ、今回第1症例の退院に至りました。

理化学研究所 プレスリリース
http://www.riken.jp/pr/topics/2014/20140918_1/