メタボリックシンドローム
厚生労働省は、健康日本21の基本方針の一つとして、「生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底」をあげています。
(画像はイメージです)
具体的な方策として生活習慣病の予防のための生活改善の方法などをホームページで紹介しています。
メタボリックシンドロームは、内蔵型肥満を持つひとのなかで、高血糖、脂質異常、高血圧のなかで二つ以上が現れている状態のことです。
メタボリックシンドロームになると心疾患によって死亡する可能性がメタボリックシンドロームを持たないひとの50倍以上になることから、メタボリックシンドロームを予防することは日本人の平均寿命を延ばす可能性があると予想されます。
メタボリックシンドロームを持つひとと持たないひとを長期間観察して、死亡数を調べた結果から出てきた数字です。
血糖値が高いひとでは糖尿病性網膜症も問題になります。平均寿命には影響しないかもしれませんが、健康寿命に大きな影響を与えます。
予防ではなく、軽度の症状が出ている場合には進行を抑えるにはどうしたらいいでしょうか?高血糖、脂質異常、高血圧それぞれに薬がありますが、糖尿病の薬が糖尿病性網膜症を抑えるかどうかに関してはデータはほとんどありません。
そこで、アメリカではthe Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes(ACCORD)という大規模な前向き研究が行われました。2007年に試験が始まり、最近、結果が出つつあります。
糖尿病性網膜症の進行をとどめるには
AACORDに参加したひとのうち、開始時に網膜症を持っていたひとは3472名で4年間の観察データが揃ったのは2856名でした。
そのなかでは、網膜症の進行を有意に止めたのはフェノフィブラートという脂質異常症の治療薬でした。
血糖値の厳密な制御はコントロール群に比べて死亡例が増えたために早期で中止されています。
高血圧の厳密な制御は網膜症の進行に対して予防効果を持ちませんでした。
日本ではスタチン類が脂質異常症の薬剤に用いられています。この試験でもコントロール群にもスタチン類が投与されていまが、スタチン投与だけでは網膜症の進展を予防できませんでした。

「健康日本21(第2次)について講演抄録
http://www.kenkounippon21.gr.jp/kyogikai/4_info厚生労働省「メタボリックシンドロームを予防しよう」
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/metabo02/index.htmlAction to Control Cardiovascular Risk in Diabetes (ACCORD) trial: design and methods.
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/The Effects of Medical Management on the Progression of Diabetic Retinopathy in Persons with Type 2 Diabetes
http://www.aaojournal.org/article/