神経細胞のネットワーク制御
2014年9月1日、沖縄科学技術大学院大学 光学ニューロイメージングユニット研究グループの網膜から脳の視覚野に信号を伝達する視覚神経の処理経路についての研究成果がThe Journal of Neuroscienceに採用され、2014年8月13日発行の雑誌の表紙を飾ったことを発表した。
(画像はプレスリリースより「写真提供:OIST」)
脳は神経細胞が集まった複雑なネットワークである。脳内では神経細胞が外界からの情報を伝達・処理しながら状況を認識し、反応。
個々の神経細胞では、樹状突起と呼ばれる部位で受け取った信号が細胞体に伝わり、その後軸索部分を通して次の神経細胞に送る。
眠っているときの網膜細胞からの情報伝達
視覚野は、脳内で眼からの信号を処理し視覚情報として認識、解釈する。
視覚野に到達する前に、眼からの信号はまず、視覚系視床、つまり視床神経細胞を経由する。この神経細胞は、「睡眠状態」と「覚醒状態」を切り替えることが可能。
「睡眠状態」にあるときには、視床神経細胞は網膜から来た信号を遮断し、眼は見えているが、脳は見えていない状態になる。
「睡眠時」に何が起こっているのか
通常は神経細胞は脱分極を引き金にして活動電位を発生し、次の神経細胞に情報を伝える。「睡眠時」には他の刺激により脱分極が発生し、その活動電位が情報を伝える活動電位を干渉して次の神経細胞に情報を伝えることを遮断。
上記のことが今回の研究成果。マウスの脳を用いた実験で証明した。今後、このメカニズムが他の動物と共通であるかまた、非侵襲的にこの現象を捉えるかどうかが興味をひく。

沖縄科学技術大学院大学 プレスリリース
http://www.oist.jp/ja/news-center/news/2014/9/1/16442NMDA Spike/Plateau Potentials in Dendrites of Thalamocortical Neurons.
The Journal of Neuroscience, 13 August 2014, 34(33): 10892-10905; doi: 10.1523/JNEUROSCI.1205-13.2014
http://www.jneurosci.org/content/34/33/10892