未熟児網膜症にベバシズマブの硝子体内注射
近畿大学医学部は未熟児網膜症に対して、ベバシズマブの硝子体内注射の検討を行った。
(画像はイメージです)
眼底撮影およびフルオレセイン血管造影で未熟児網膜症と診断された、4人の未熟児が対象となり、体重はそれぞれ、652g(24週で出産)、476g(27週で出産)、579g(24週で出産)、972g(26週で出産)。
ベバシズマブの投与は妊娠33~37週にあたる段階で実施。3例では追加の処置は必要なかった。1例で19週後に硝子体出血と5か月後に白内障が発現し、レーザー光凝固と手術が必要となった。
今回はベバシズマブの投与の効果が示唆されたが、確定するためには更なる研究が必要である。
未熟児網膜症
網膜の血管は在胎36週頃に完成する。それ以前に出産した場合は網膜血管が未完成で、異常な発達をする場合がある。これを未熟児網膜症という。
在胎28週未満ではほぼ100%発症するが、血管がのびていない網膜との境界部分に新生血管がない場合には経過観察で自然治癒が見られる。それ以上進んでいる場合、あるいは出生時の体重が1kgの場合には、急速に進行し網膜剥離が発生し失明にいたる。
治療は新生血管の成長を抑えるためのレーザー凝固が第1に選択される。網膜剥離が進んだ場合は手術が必要となる。
ベバシズマブ
血管新生抑制を作用機序とする抗腫瘍用薬である。中外製薬が「アバスチン」の商品名で2007年から日本で発売している。

近畿大学 文献抄録(Japanese Journal of Ophthalmology)
http://link.springer.com/article/10.1007/s10384-014-0310-z