病名は知っていても乏しい知識
眼の老化現象で、老眼と並び最もよく知られている白内障。この白内障という病気、80代でほぼ100%が発症するというのはご存じでしょうか?
そもそも白内障とは眼がどうなる病気?
白内障は、水晶体(眼の中のレンズの役割をする)が年齢とともに白く濁り、視力が低下する病気。老化現象の一つなので誰もが避けられない病気なのです。
2014年、白内障研究所が中高年を対象に行った調査によると、白内障とは水晶体が曇ることだと認識していたのは64%で、残りのおよそ4割が間違った認識を持っている、または知らないことが明らかになっています。
80歳代でほぼ100%が発症も、9割以上が知らない!
日本アルコンが2014年、40歳以上の男女約300人に行った調査では73.7%の人が白内障という病名を聞いたことがあるにもかかわらず、その9割以上(91.7%)が「白内障は80歳以上でほぼ100%発症」という事実を認識していませんでした。
それでも「80歳まではまだ間がある」「自分にはまだ関係ない」と思ってはいませんか。自覚症状がなくても、40歳代で検査によって水晶体の濁りが見つかる人はいますし、50歳代で約50%、60歳代で約80%、70歳代で約90%が発症するともいわれています。
見え方に違和感を覚えたらすぐに受診をしましょう。
白内障の代表的な症状とは?
では、白内障を発症すると、具体的にどのような症状が現れるのでしょうか。白内障には主に以下のような症状があります。
・ものが白っぽくかすむ・ぼやける
・光がまぶしい
・ものが二重に見える
・眼が疲れやすい
・近くのものや文字が見えやすくなる
「白っぽくかすんで見える」、「ぼやけて見える」という症状は割とよく知られていますが、前出の調査では、「光が以前よりまぶしく見えるようになる」、「近くのものや文字が見えやすくなる」といった症状を認識していたのはわずか3割のみでした。
病名自体はよく知られていても十分な知識を持っていない現実が浮き彫りになっています。
紫外線と白内障の意外な関係とは
白内障の最も大きな原因は加齢ですが、紫外線も要因の一つであることはご存じでしょうか。紫外線は日焼け、シミ、シワ、皮膚がんの原因になることは一般的によく知られていますが、眼の病気の原因にもなるのです。
白内障もその一つで、紫外線により発症・進行しやすくなります。日本白内障学会によると、紫外線の強い熱帯や亜熱帯地域在住者、屋外労働者、屋外スポーツなどで外にいる時間が長い人は、白内障になる危険性が高いといいます。
肌に日焼け止めを塗るのと同じように、日頃から紫外線カットのサングラスの着用するなど眼の紫外線対策も重要ですね。
紫外線以外で白内障の要因としてあげられるのは、放射線、ステロイド薬、糖尿病などがあります。
白内障の治療とは
では、白内障になったらどのような治療が行われるのでしょうか。
白内障の濁りは、薬で取ることはできません。日常生活に支障がない初期の段階では、水晶体の濁りの進行を遅らせる目薬が使用されます。しかし、最終的には濁った水晶体を取り除き、眼内レンズ(人口の水晶体)を入れる手術が必要になります。
日本眼科医会によると、白内障手術は年間約120万件行われていますので、誰もが経験する手術といっても過言ではないといいます。
高齢化社会といわれる現代。老化と上手く付き合うことで、いつまでもアクティブに過ごしたいですね。
(画像はWikipediaより/スリットランプで見た白内障の目 Photo:by
Rakesh Ahuja, MD)
(画像はイメージです)

一般財団法人 白内障研究所:白内障に関する意識調査アンケート調査結果
http://www.cataract-foundation-japan.jp/日本アルコン株式会社 ニュースリリース
http://www.alcon.co.jp/docs/20140911research.pdf公益社団法人日本眼科医会
http://www.gankaikai.or.jp/health/48/02.html