ダイキンと京大が共同研究
ダイキン工業と京都大学は1月20日、スギ花粉がアレルゲンとしてヒトに作用するだけでなく、
細胞を一部破壊する有害性を持つと発表した。
これはダイキン工業と京都大学大学院工学研究科の高野裕久教授との共同研究によるもの。スギ花粉は、ヒトの鼻やノドから肺へとつながる粘膜を構成する「気道上皮細胞」に炎症を引き起こし、細胞を一部を損傷させる。
しかし、強力な酸化分解力を持つダイキン工業開発の
ストリーマ放電をスギ花粉に照射することで、その有害性が抑制されることも実証された。
※ストリーマ放電の様子
ストリーマ放電で有害なスギ花粉を分解
今回の研究は、ストリーマ放電によって微細に分解されたスギ花粉が細胞に対して有害性を持たないことを立証する目的で実証試験を開始。
自然界に存在するスギ花粉そのものと、ストリーマ放電を照射し、分解したスギ花粉をそれぞれ気道上皮細胞に接触させて細胞の反応を観察た。
その結果、スギ花粉をヒトの気道上皮細胞に接触させるとIL-6(細胞が炎症を発症する際に産生されるタンパク質)の産生量が増大した。同時に、細胞の増加や殖生存率の低下が見られた。
一方、ストリーマを照射した花粉を接触させた細胞は、IL-6の産生量が少なく、増加や殖生存率もスギ花粉に比べ高かった。これらの結果かから、スギ花粉はヒトの気道上皮細胞に対して炎症を引き起こす有害性を持つ。また、ストリーマ放電は、その有害性を抑制することがわかった。
花粉の時期の室内には空気清浄機が効果的
ストリーマ放電とは、2004年にダイキン工業が開発。プラズマ放電の一種で、酸化分解力の高い「高速電子」を3次元的・広範囲に発生させるため、一般的なプラズマ放電と比べて、酸化分解力が1000倍以上になる。
このためニオイや菌類・室内汚染物質のホルムアルデヒドなどの除去効果がある。これまでにもダイキン工業では、インフルエンザウイルスやノロウイルス、食中毒の原因となる毒素や細菌などの有害物質の不活化効果があることを、研究機関と共同で実証してきた。
今回の実験ではこれらの研究成果に加え、スギ花粉にも“ストリーマ放電”が効果を発揮することがわかった。

ニュースリリース/ダイキン工業株式会社
http://www.daikin.co.jp/press/2012/120120/index.html