米科学誌プロスワンに研究成果を掲載
国立成育医療センターと浜松医科大学の共同研究チームが、網膜色素変性症の日本人患者から、病気の原因とみられる遺伝子を発見したと、2月2日、日本経済新聞が報じた。
網膜色素変性症は、網膜の視細胞が変性して視野狭窄などの症状を起こし、失明の恐れもある眼科疾患。4000~8000人に1人の頻度で起こり、遺伝性の疾患といわれているが、根本的な治療法が見つかっていないのが現状だ。
研究結果では日本人患者の14%に、特定の遺伝子変異がみられた。遺伝子検査による早期発見や、治療法の研究に役立つ成果として、2日付の米科学誌「プロスワン」(電子版)に発表したという。
網膜色素変性症の原因遺伝子は「EYS」
研究チームは日本人の患者100人の遺伝子を調べ、分析した。その結果、患者の14%に「EYS」という遺伝子に変異が起きていることがわかった。この遺伝子は、網膜の視細胞の構造に関係しているため、何らかの変異によって正常な細胞が生成されなくなり、網膜色素変性症の原因になると考えられる。
欧米の患者にEYS遺伝子の変異が多いという報告は、なされていない。原因遺伝子の候補はほかにも挙げられているが、実際に変異がある患者の割合は1%に満たず確証が取れなかった。原因遺伝子が解明されれば、網膜色素変性症の治療などに結びつくと期待される。

日本経済新聞
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