実験室で生まれた「生合成」角膜
ヘルスデージャパンによると、生体組織を利用して作られた角膜が、損傷組織と壊れた神経を再生させて、ドナー提供の角膜と全く同じように眼の視力を回復させることがスウェーデンの科学者らの実験でわかったそうです。
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Kyle May's photostream(画像はイメージ)
患者10人の病変組織を取り除き、酵母の中で成長させたコラーゲンを含む正常なヒト角膜に似せてデザインした生合成角膜を移植したのち、2年間の追跡調査で10人中9人の細胞と神経が完全に再生しており、健常な眼の組織と同様な「再生した」角膜が形成されたことが確認されました。
さらに、、コンタクトレンズを装着した場合には全患者で、ドナー組織による通常の角膜移植と同等の視力改善がみられました。拒絶反応もなく、長期にわたる免疫抑制治療の必要もなかったそうです。
角膜の世界的不足
今現在の主流である死亡したドナー提供による角膜移植には高い有効性が認められていますが、移植可能な状態の良い角膜は世界的に不足していると、今研究者の1人であるスウェーデン・リンチェピング大学のMay Griffith氏が述べています。
良質のヒトドナー角膜を確保するのが厳しい現実であるならば、今回の生合成角膜はまさに次世代角膜として、大勢の移植が必要な患者への新たな治療法となるのではないでしょうか。一日も早い一般への実現化が待ち望まれています。

ヘルスデージャパン
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