東電またも、データ隠蔽
東京電力福島第1原発事故で放出された放射性物質について、東京電力が公表していないデータが存在することが分かった。11月17日、NHKが報じた。
東京電力は今年5月、2011年3月15日に2号機から、16日には3号機から、大量に放射性物質が放出されたと発表した。しかし、具体的な放出経路などは明らかにしてこなかった。
NHKは原発事故の未解明の謎を探るために独自に調査を進める中で、公表されている第2原発の放射線量データに、ところどころ空白があることを発見した。
欠け落ちたデータについて東電に問い合わせたところ、未公表データの存在が明らかになった。
突然数値が4倍に
未公表データは2011年3月15日午前から4月3日にかけてのデータで、このうち確認できたとデータとして東京電力が改めて明らかにした3月16日のデータでは、午前9時40分ごろ、それまで20マイクロシーベルト/時間で推移していた放射線量が、突如4倍の
80マイクロシーベルトに跳ね上がり、10分後には87.7マイクロシーベルトにまで上昇していた。
数値が急上昇する1時間前の
3月16日午前8時半ごろに、3号機の建屋から白煙が大量に噴き出ているのが確認されており、原発内で何かが起きた可能性が疑われている。
原発事故後、周辺の放射線量などの調査を続けている東京大学の門信一郎准教授は
事故から1年8か月がたつのに、いまだに未公表があるのは分析を行ってきた立場として大変残念だ。今回のように大きく値が変化するデータは、福島第一原発で何かが起きた可能性を示しており、3号機の白煙との関連を含め、詳しく調べる必要がある(「NHKニュース」より引用)
と遺憾の念を表明している。
東京電力はNHKの取材に対し
なぜ公表されていないのか調査中だ。確認ができしだい公表を検討したい
と答えている。
東京電力は、事故から2か月後の昨年5月に放射線量のデータを公表した際にも、事故直後の3月11日~15日のデータの一部を隠蔽しており、問題になった。
原発事故以来、隠蔽体質を批判され続けているにもかかわらず今回、またもや未公表データの存在が明らかになった。

原子力|東京電力
http://www.tepco.co.jp/nu/index-j.htmlNHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121117