ゲリラ豪雨や竜巻を短時間予測
これまで予測困難とされていた
ゲリラ豪雨や
竜巻。この夏も、局地的な集中豪雨が各地で起こり、大きな被害をもたらした。
そこで突発的に発生するゲリラ豪雨や竜巻を短時間で観測するため、2008年より開発が進められていたのが「
フェーズドアレイ気象レーダ」だ。
産学官連携プロジェクトとして
情報通信研究機構(NICT)、大阪大学、東芝が共同で開発に取り組み、日本初の成功を果たした。8月31日より大阪大学・吹田キャンパスにて試験観測を開始している。
これまでは、地上付近の降雨分布観測に1~5分、降水の3次元立体観測に5分以上の時間が必要とされていた。しかしながら、ゲリラ豪雨をもたらす積乱雲は10分ほどで急成長し、竜巻もわずか数分で発生し移動するため、これらの
兆候をいち早く察知する必要があった。
30秒位内で降雨分布観測が完了
フェーズドアレイ気象レーダは、128本のスロットアレイアンテナによる“
デジタルビームフォーミング(DBF)”を採用。わずか
10~30秒で観測が可能になった。
アンテナを1回転させるだけで
半径15~60km、高度14kmまでの範囲で緻密で詳細な
3次元降水分布を観測することが可能だ。
今後、レーダにより得られる詳細な3次元観測データから、ゲリラ豪雨をもたらす積乱雲のメカニズムを明らかにしていく。
将来的には
突発的気象災害の監視や、短時間予報(ナウキャスト)に有効利用されることが期待される。

プレスリリース/独立行政法人 情報通信研究機構
http://www.nict.go.jp/press/2012/08/31-1.html