バイオニック技術の凄まじい進歩
オーストラリア政府が出資する科学団体「バイオニック・ビジョン・オーストラリア(Bionic Vision Australia、BVA)」は8月30日、人工眼を埋め込む手術に成功したと発表した。
遺伝性の網膜色素変性症が原因で失明したダイアン・アシュワースさんの網膜に、生体工学で作られた人工眼の「初期試作品」を埋め込んだ。
埋め込まれたのは、「前バイオニック眼(pre-bionic eye)」と呼ばれる小さな装置だ。視神経細胞を刺激するための電気信号を発する電極が、24個付いている。
より精度の高い視力を確保するための第一歩
アシュワースさんは、「前バイオニック眼」のスイッチが入った時の感想を、
最初は何が起きるか予想できませんでした。けれど突然、小さな光が見えたんです――感動しました(「AFPBB News」より引用)
と語り
刺激が与えられるたびに、私の目の前にさまざまな形が現れました(「AFPBB News」より引用)
と説明した。
「初期試作品」では研究室の機器に接続した状態でしか機能しないが、この人工眼を通して視覚イメージが構築されるシステムを調べていく。
より精度の高い視力を確保するための第一歩
研究チームは現在、建物や車などの大きな物体が知覚できる98個の電極を持つ装置や、人の顔などが識別できる1024個の電極を持つより精密な装置の開発に取り組んでいる。
1024個の電極を持つ装置は、網膜色素変性症や加齢黄斑変性症の患者に適しているという。
BVAのデービッド・ペニントン(David Penington)会長は、アシュワースさんから、これまでに得られた臨床結果は
われわれの最善の期待を満たすもので、開発を進めれば実際に役に立つレベルの視力を達成できるという自信になった(「AFPBB News」より引用)
現在の試作段階を経て、より精度の高い人工眼開発に向けて研究を進めていくと語っている。

Bionic Vision Australia
http://www.bionicvision.org.au/media/archive/AFPBB News
http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/