東電、出前授業で「原発は必要です」
原子力発電の必要性について、毎年中学校で授業が行われているという。
中3の息子が、原発がないと日本の経済がたち行かなくなるよと突然言うので驚いて確認すると、学校の授業に東電の人が来て、原発事故のお詫びとともに、原発のことを、あれこれ説明したという。その授業は、毎年恒例で、発電の仕組みなど、テストにもなるのだという。もちろん、あれだけの事故の後だ
「風の旅人」編集長、佐伯剛氏がTwitterで発言し、大きな反響を呼んでいる。あまりにもリツートが多かったため、佐伯氏はあらためて、
ブログでその経緯を詳しく説明した。
ブログによると、中3の息子さんは
昨年の3.11の直後は、母親が放射能を心配していることが身近にいて伝わっていたので、原発は恐い存在だということ、子供なりにも理解していた
という。ところが、佐伯氏が最近の
大飯原発の再稼働についてどう思うかと尋ねたところ
原発がないと、日本の経済が立ち行かないんじゃないの
と答えたそうだ。一年前とは全く異なる子どもの反応に驚いた佐伯氏は、どうしてのそう考えるようになったのと尋ねたところ
この春、学校に東電の人が来て、説明したことが一つのきっかけになったことがわかった
この出前授業は毎年行われており、内容は電気の作り方や電気の役割、
水力発電や
火力発電の短所を説明。その後、二酸化炭素を排出せず地球温暖化にも有効な
原子力発電の必要性を説明するのだという。
一方向からの情報では授業とはいえない
この件に関して、佐伯氏は
まず、私は、子供に、学校現場で一方向からの情報や物の考え方を伝えるだけで終わるのは、フェアではないと言った
とブログで語っている。今回の授業は、電気会社からだけの情報で成り立っており、原子力発電の安全性に疑問をもつ立場からの情報が皆無なのは
かたよった授業だというのだ。
授業では
使用済みの核燃料が今どうなっているのか、そして今後どのように処理していく計画なのかといった、安全面に関する説明はされなかったという。
茂木健一郎氏の意見
佐伯氏の発言を受けて茂木健一郎氏は連続リツイートをおこなった。
さこ(9)「あれだけの事故」があったから、東電の人は一切見解を言うべきでない、と言うのは最悪の選択である。どんどん意見を言っていただいていい。その上で、反対意見と闘わせる。そのような立体的な言論空間だけが、困難な状況を切り開く強靱な精神をつくる。自粛の強制は、愚かである
反論めいたことが書かれているが、このツイートを読んだ人はどうあれ、佐伯氏はそのようなことは一言も述べていない。
むしろ、この複雑な状況の中で黒白を明確に分けられるような簡単な問題ではないことを強調し、子どもたちが大人から教えられた情報を元に、
自分で考えられるようにするべきだと語っている。
根気強く次世代に伝えるためにの親の覚悟
茂木健一郎氏は佐伯氏のTwitterだけを見て、ブログは読んでいないのではないだろうか。
原発擁護派と反対派の違いはあるが、語っていることの本質は同じである。
茂木氏はTwitterで
さこ(5)そこで、佐伯さんの書かれていた授業の件である。問題の本質は、授業に東電の人が来て、その見解を述べること自体にあるのではない。授業の中で、その見解への反対意見、異なる立場からの見解が提示されているかどうかである。そのような立体的な視点があって、初めて授業に意味がある
と語るが、このことこそを、佐伯氏はブログで強調しているのである。
原発賛成であれ反対であれ、一方向からのみ情報を与え、「ダメなものはダメ」と強要するスタンスは、全て洗脳ということになる。「洗脳は許さない」と、逆の立場から洗脳の手法を駆使していてはダメなのだ
と語る佐伯氏はと茂木氏のTwitter発言は同じ事を述べている。その上で佐伯氏は
親は、子供に理屈を伝えるのではなく、といって感情をぶちまけるのではなく、信条を伝えなければならないと思う。それは簡単なことではないが、できるかできないかの分別に囚われずに、それこそ必死でやらなければならない
親の覚悟と決意を表明している。みなさんは、次世代を担う子どもたちに何を伝えたいとお考えだろうか。

Twitter/風の旅人 佐伯剛
https://twitter.com/#!/kazesaeki風の旅人 編集便り
http://kazetabi.weblogs.jp/blog/2012/06/post-2ba4.htmlTwitter/茂木健一郎
https://twitter.com/#!/kenichiromogi東京電力
http://www.tepco.co.jp/solution/