「大阪維新の会」が公開した驚きの条例案
ここ数日、大阪維新の会の「
家庭教育支援条例(案)」をめぐってTwitterが騒然となった。原因は、橋下大阪市長率いる「大阪維新の会」大阪市会議員団が5月1日に発表した「家庭教育支援条例(案)」だ。
「家庭教育支援条例(案)」とは、親およびこれから親になる人への
家庭教育支援を目的とするもので、保育園での一日保育士体験を義務づけるなどが盛り込まれた条例案として市議会に提案するものだ。
この条例案の中の第4章(発達障害、虐待等の予防・防止)、第15条(発達障害、虐待等の予防・防止の基本)
乳幼児期の愛着形成の不足が軽度発達障害またはそれに似た症状を誘発する大きな要因であると指摘され、また、それが虐待、非行、不登校、引きこもり等に深く関与していることに鑑み、その予防・防止をはかる
乳幼児期の愛着形成の不足が発達障害を招くというのは誤った認識だとしてTwitterのタイムラインに怒りの声や嘆きの声、呆れた声など、発達障害について誤解を招くのを懸念する人びとのツイートが相次いで寄せられた。
(画像:大阪市会大阪維新の会公式ホームページ)
発達障害とは?
文部科学省では、「発達障害者支援法施行令」第1条において
脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもののうち、言語の障害、協調運動の障害その他厚生労働省令で定める障害とする。
と定義付けている。また文部科学省は主な発達障害として、「自閉症」、「高機能自閉症」、「学習障害」、「注意欠陥/多動性障害」などを挙げている。
このことからも「大阪維新の会」の、“乳幼児期の育児が発達障害を起こす”といった
記述は誤りであることがわかる。
乙武洋匡氏がツイート
この無神経な条例案を受けて、自身も先天性四肢切断であり『五体不満足』の著者として有名な乙武洋匡氏もツイートに加わった。
橋下さん、乙武です。いまのツイートで発達障害の原因が親の愛情不足によるものだとお考えになっているわけではないとわかり、ホッとしました。子どもが家庭において愛情豊かに育てられることが望ましいとの考えには同調しますが、発達障害は別物であること、議会にご指摘ください。
さらに
3年間の教員生活のなかで、発達障害児への対応は、教育現場における最重要課題のひとつであると感じました。僕自身もまだまだ勉強中の身ですが、さらに理解を深め、本人・ご家族にとって生きやすい社会の実現に努めていきたいと思います。
と、現場経験者として率直な意見を述べた。
これに対し、橋本市長は
市長と市議団は別個独立の意思決定機関とルール化していますが、市議団にはきっちりと伝えました。
と回答した。
今回問題となった条例案は、発達障害に対する誤った認識の改善のみにとどまらず、さまざまな角度から議論を重ねる必要があると感じる人が多いのではないか。

大阪市・家庭教育支援条例 (案)
http://osakanet.web.fc2.com/kateikyoiku.html発達障害とは/文部科学省
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/hattatu.htm発達障害者支援法の施行について/文部科学省
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/06050816.htm発達障害について、正しい認識を。/Togetter
http://togetter.com/li/297720