一般市民向けサイエンストーク
昨年12月の「Nature Communication」に、熊本大学・九州大学などからなる国際共同チームによる約3億年前の古代魚類が色を見分けることができたという発見が掲載されました。
平成27年2月15日(日)に九州大学総合研究博物館で研究リーダーが実際の研究に用いた実物の化石や写真パネルを用いて、一般市民向けのサイエンストークが実施されます。
展示は10:00~16:30まで、解説は10:30、13:00、15:00の3回同じ内容で行われます。事前申し込みは不要で、入場無料。定員なし。
内容
約5億2000万年前のカンブリア紀前期に栄えた三葉虫の複眼は化石として残っていますが、脊椎動物の眼は軟組織でできていることから、真っ先に腐ってしまい化石にはほとんど残りませんでした。
研究チームはアメリカ合衆国カンザス州から産出した約3億年前の石炭紀後期に生息していた「アカントーデス」(棘魚類の一種)の化石に、通常では化石に残らない眼の軟組織が保存されていることを発見し、詳細な分析を実行。
その結果、「アカントーデス」の眼には色を識別する錯体細胞、明暗を識別する桿体細胞、昼と夜で眼の反応を変えることができるユーメラニンが存在していることが分かりました。
今後の展開
一般的には腐って化石には残らない眼や筋肉、皮膚などが残された化石を「例外的に保存の良い化石(化石鉱脈)」と呼びます。この化石鉱脈の研究は、現在の古生物学における世界的な潮流のひとつになっています。
九州大学・熊本大学などが連携して、「化石鉱脈」に関する研究拠点が形成されました。今回の「アカントーデス」の眼の研究成果はその第一歩です。
視覚を得ることが進化のひとつの原因という仮説があります。今回の研究もその仮説を裏付けるものになります。
(画像はプレスリリースより)
九州大学 プレスリリース
http://www.kyushu-u.ac.jp/pressrelease/2015/2015_01_21_4.pdf