センサーの進歩
一日のエネルギー消費や睡眠状況はすでに測定できるようになっています。また、センサーを開発している会社は、疲労度、心拍数、血圧、血糖値、ヘモグロビンA1cが近い将来、眼圧なども最終的には測定できるとしています。
(画像はイメージです
Ted Eytan)
ウエアラブル端末を付けていれば、常に健康診断をしている状況がくる可能性があり、みんなが健康になるという夢が語られています。
センサーの問題点
その中でクリアしなければいけない大きな障壁があります。
測定値が今までの基準値あるいは病気と判断する値と同じで通用するのかという障壁です。
テキサス大学のリオンズ博士は、現在使われている活量測定器の比較を行った研究の中で、各デバイスから出てくる値の評価が医学的に詳しく検討されていないことが問題であると述べています。
高血圧の世界では、この問題がすでに発生し、一つの結論が得られています。家庭血圧と診察室血圧の問題です。家庭血圧と診察室血圧の値を比べると、家庭血圧の方が低めに出ます。そのため、高血圧の基準は家庭血圧では診察室血圧より5mmHg低くなっています。
ウエアラブル端末から得られる値は、家庭血圧と同じです。正常であることに関しても、大規模なデータを集積してから初めて正常と判断できるということです。
測定原理が同じであれば、同じという人があるかもしれません。これは人には体内時計というものがあり、多くの検査値は、人が普通に生きていく中で1日のうちに変動します。このことから、常に値が変動するということです。
逆に値の変化が観察することにより見えてくる病気もあります。
高血圧では、診察室では週1回程度の測定しかできません。その結果、測定時期が日内変動で低い時期に一致した場合に高血圧が見逃されていることが分かっています。
国立循環器センターの試み
2014年10月8日、国立循環器センターは博報堂と共同で、生活者が自発的に健康的な生活習慣を実践していける「健康行動デザイン」の研究を開始することを明らかにしました。
この研究の中では、自分の変化を日常的に計測し、それを生活習慣の改善に結びつける試みが計画されています。当然、変化の評価が行われますので、センサーから得られた値を解析して「正常」あるいは「病気」と判別する研究も行われると思います。
ウエアラブル端末が発売されても、健康を守るために使用できるようになるには、もう少し時間が必要かもしれません。

国立循環器センター プレスリリース
http://www.ncvc.go.jp/pr/release/006833.html