岡山大学の発表
2014年9月17日、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科眼科学分野の松尾俊彦准教授は、片眼性先天白内障に対して、生後18か月以内に小児を対象に行った眼内レンズ挿入について、手術方法、安全性、新たな知見に関して発表しました。
(画像はプレスリリースより)
なお、この研究成果は7月16日にオンライン科学雑誌「Springer Plus」で公開されています。
先天白内障
先天白内障は、生まれつき水晶体(眼の中のレンズの役割をはたすもの)が濁っている疾患。
視力は生まれたときにはまだ完成していません。網膜に像は映っていますが、まだ視神経が発達していないので、見えたことが分からない状態です。
3歳ぐらいになると、脳の神経回路が発達して良好な視力が完成となります。
先天性白内障では、網膜に像を映すことができないので、脳の神経回路が発達しない「弱視」という状態になります。
先天白内障の治療
両眼性の先天白内障の場合は、水晶体の濁りを除くことによって視力の発達を促すことができます。
しかし、片眼性白内障の場合には水晶体の濁りを取り除くだけでは、健常眼と見え方に差があるので、レンズによる矯正が必要になります。幼児の場合にはメガネやコンタクトレンズを使うことは難しいことから、眼内レンズを選択します。
現在2歳以上では一般的になっていますが、岡山大学では1歳6か月で手術を行い、結果を集積してきました。さらに生後12か月以内の先天白内障を手術も実施。
その結果18か月位になれば安全に手術が行えることが分かりました。生後12か月以内の手術では検査では分からないような軽微な硝子体血管異常が発生していることが分かりました。
早期に手術を行うことができれば、脳の神経回路発達が早期に始まります。18か月で安全に手術ができることを示したことは今後の先天白内障の治療に貢献すると思われます。

岡山大学 プレスリリース
http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id228.html