前頭側頭型認知症の診断、治療に光明
2014年8月25日、Gladstone研究所はCalifornia大学との共同研究で、網膜内の細胞の減少が前頭側頭型認知症の前兆であることを発見したことを発表した。なお、この内容は「Journal of Experimental Medicine」に同日掲載。
(画像はプレスリリースより)
前頭側頭型認知症
前頭側頭型認知症(FTD)は認知症の中では10%弱と少ないが、発症年齢はアルツハイマー病より若く、遺伝性である。染色体17q21-22上のタウによる遺伝子突然変異による。
人格、行動、言語機能に症状が出るが、記憶はあまり症状が出ない。社会行動および人格が変化し、社会的抑制を失う。
有効と認められた治療は存在しない。
研究内容
FTDの遺伝子異常を持つ人々では、持たない人に比べ、網膜細胞が少なくなる。網膜細胞の減少は認知症のあらゆる症状よりも先行する。
網膜は眼の中にあるが、直接、脳のニューロンと繋がっている。脳タンパクの変性が原因であるFTDではその影響が網膜に出ていると想定している。
今回の研究ではFTDにおける細胞死の新しい機序に関しての発見もあった。神経の変性が起こる前に細胞の核からTDP-43というタンパク質が枯渇が、FTDにおける細胞死を直接誘導すると言うことである。
TDP-43はランというタンパク質により調整されていることから、ランの発現量を増やすことによってニューロンの核にあるTDP-43は増加し、細胞死を防ぐ可能性があるとしている。
研究の応用
今回の研究により眼底検査により網膜の菲薄化を観察することで、FTD発病を早期に発見することができる。また、ランの発現を増加することができればFTDの治療に繋がる。

Gladstone研究所 プレスリリース
http://gladstoneinstitutes.org/pressrelease/2014-08-25